【田舎・集落】村でお祓いをしていた俺の爺ちゃんの話【怖い話・短編】

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【田舎/集落・短編】
【怖さレベル】6.0

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俺の爺ちゃんは、村でお祓いのような事をしていた。

俺が子供の頃の話なんだけど。

俺は山の中の小さな村に住んでて、家から少し離れた所に爺ちゃんが住んでた。

その爺ちゃんは、今で言うお払いみたいなことをしていて、狐憑きや村で切れない木があるとの爺ちゃんに頼っていた。

俺はそんな爺ちゃんに憧れ、よく家に遊びにいってた。

そんなある日、いつものように爺ちゃんの家に行き、縁側で喋ってた。
「俺も大きくなったら爺ちゃんみたいになりたい」

目に見えない者を倒す爺ちゃんは、ヒーローそのものだった。

だけど爺ちゃんは、

「やめとけ、こんな事をしても何の得にもなりゃせん・・・お師さんもそうじゃった。」

広い庭を見渡し、

「もうここまで来よった・・・わしもそろそろか・・・」

と呟いていた。

それから数ヶ月した頃、学校の帰り道で爺ちゃんに会った。

爺ちゃんは田んぼの中を四つ足でグルグル歩き回り、蛙を捕まえ食べていた。

爺ちゃんの目はギョロギョロしていて、舌はだらしなく垂れ下がり口の周りは泥だらけだった。

あまりの光景に俺は怖くて動けずに、ただ見ていた。

そして爺ちゃんが俺に気づくと低い唸り声をあげた。

俺は走って逃げ、親に爺ちゃんのことを告げた。

それから数日して爺ちゃんは死んだ。

葬式の時、大人は爺ちゃんの顔を見ることを許してくれなかった。

それから少したって爺ちゃんの家で、日記を見つけた。

それは爺ちゃんのお師さんが、死んだ時のことが書かれていた。

お師さんの身体が弱くなるにつれ、力も弱なっとる。祓ってもきりがない。

どこからともなく物の怪が現れ、お師さんに入り込む。

苦しんで絶命した時は、恐ろしい形相だった。

こういう事に携わってると奴らから怨まれるのは当然・・・

力を無くした時に、復讐にくる。

わしも同じ目に合うのだろうか。

俺は爺ちゃんが縁側で話したことを理解した。

向こうから見れば、爺ちゃんは敵で、祓い逃した奴や人間に悪さをする奴は、いつまでも復讐の時を待っている。

そしてお払いをする人間の最期は静かに死ねないという事を・・・

〈了〉

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